
「SEO対策しませんか」の営業電話・メールを見極める5つの判断基準
「お世話になります。御社のサイトを拝見したのですが、検索で上位に出ていないようでして」——受付から回ってきた電話で、そう切り出されたことはありませんか。
あるいは、問い合わせフォームに届く「1位表示を保証します」というメール。上司に転送されて「これ、どうなの?」と聞かれる。断りたい気持ちはあるのに、SEOの専門知識で言い返せるわけでもなくて、うまく答えられないまま電話が長引く。
先に言っておきたいことがあります。あなたがその場で答えられなかったのは、知識が足りないからではありません。電話やメールでの営業は、その場で判断できない状態のまま話が進むように作られていることが多いからです。だから、必要なのは知識で対抗することではなく、判断を自分の側の時間に戻すことです。
結論:SEOの営業を受けたときにやることは3つです。
①即答しない(その場で判断しない) → ②質問する(何をするのか/どう測るのか/やめるときはどうなるのか) → ③持ち帰る(社内で確認してから返事をする)。
この3つだけで、判断を誤る場面はかなり減ります。断ることが目的ではありません。その場で決めないことが目的です。
何が起きているのか:なぜWEB担当に営業が集中するのか
自社サイトは、誰でも見られる公開情報です。検索順位も、更新の止まっているページも、外から確認できます。だから「御社のサイト、ここが弱いですね」という指摘は、誰にでも、そこそこ当たっている指摘として作れてしまいます。
そしてその指摘は、たいてい本当に当たっています。ここが厄介なところで、「痛いところを突かれた」という感覚が、そのまま「この人は詳しそうだ」という印象にすり替わりやすい。忙しくて手が回っていない自覚があるほど、効いてしまいます。
もうひとつ、前提として押さえておきたいことがあります。SEOを支援する会社には、まっとうに実力のある会社がたくさんあります。外部の力を借りること自体は、一人で回している担当者にとってむしろ現実的な選択肢です。
ですからここで見極めたいのは、「良い会社か悪い会社か」という話ではありません。目の前の提案の"話の作り"が、確認できるものになっているか。それだけです。以下の5点は、相手を疑うためのものではなく、あなたが社内に説明できる材料をそろえるためのものだと思ってください。
見極める5つの判断基準

1. 「順位を保証します」と言っていないか
これがいちばん分かりやすい目印です。検索順位を決めているのはGoogleの検索アルゴリズムであり、外部の誰かが結果を約束できる仕組みにはなっていません。Google自身も、検索に関する公式ドキュメント(Google検索セントラル)で、SEO業者を選ぶ際の注意点として「上位表示を保証すると謳う業者には気をつけてほしい」という趣旨の案内を長く出しています。
ここで注意したいのは、「保証」と「目標」は違うということです。「この3つのキーワードで上位表示を目指し、3か月ごとに順位の推移を共有します」——これはごく普通の提案です。おかしいのは、達成できるかどうかを相手が決められないことを、断定で言い切っているときだけです。
2. 「Googleの公式パートナー・認定です」と言っていないか
ここは混同しやすいところなので、分けて覚えておくと役に立ちます。Googleには「Google Partners」というプログラムがありますが、これはGoogle広告(Google Ads)の運用に関するものです。SEOの実力を認定する公式制度は、Googleにはありません。
ですから「Google公認のSEO会社です」という言い方が出てきたら、それは広告の話なのか、SEOの話なのかを確認する。「広告の認定パートナーということですか?」と聞き返すだけで十分です。悪意ではなく、営業担当者自身が混同していることもあります。
3. 何をするのかが説明されるか(とくに被リンク)
「良質な被リンクを月◯本お付けします」という提案は、いまでもよく出てきます。ここは慎重に見たいところです。
順位を操作する目的でのリンクの売買は、Googleのスパムポリシーで「リンクスパム」として明確に禁止されています。そしてもし問題として扱われた場合、その影響を受けるのは施策を受けた側、つまり自社のサイトです。契約が終わったあとも、リンクは残ります。
同じ観点で、「具体的な手法は企業秘密です」と説明を断られる場合も、いったん保留にしていい理由になります。責める必要はありません。「社内の稟議で説明する必要があるので、作業内容を書面でいただけますか」と伝えれば、それで話は前に進みます。
4. 「記事を月◯本、自動で入れます」になっていないか
コンテンツを増やす提案自体は、まっとうなものです。見ておきたいのは中身をどう作るかのほうです。
検索順位を上げることだけを目的に大量生成されたコンテンツは、Googleのスパムポリシーで「スケールされたコンテンツの不正使用」として扱われます。人が書いたか、AIが書いたかという線引きではなく、読者にとっての価値があるかどうかが判断の軸とされています。
実務的に言えば、判断はもっと単純です。その記事に、自社の現場の言葉が入るか。取材や確認のやりとりが一度もないまま記事だけが増えていく形なら、いずれ社内の誰かに「これ、うちが書いたことになってるけど内容は合ってるの?」と聞かれます。そのとき答えられるかどうかで考えると、判断しやすくなります。
5. 「やめ方」が契約書に書いてあるか
見落とされやすいのに、あとで効いてくるのがここです。提案書は「始めたらどうなるか」で作られていますが、確認したいのは終わるときにどうなるかです。
- 最低契約期間と自動更新の有無(更新を止めたいとき、いつまでに伝えればよいか)
- 解約の申し出期限(「更新の3か月前まで」のような条件が入っていることがあります)
- 成果物が誰のものになるか(作った記事・ページ・画像の権利)
- サイトやドメインをどこで管理するか(相手の管理下でサイトを作る形だと、やめたときに手元に何も残らないことがあります)
そしてもうひとつ、知っておくと落ち着いて対応できることがあります。会社として結んだ契約は、消費者向けのクーリング・オフの仕組みが原則としてあてはまりません。脅かすつもりで書いているのではありません。だからこそ、その場で決めないという一手が、いちばん確実に効くという話です。
補足:「Googleへの掲載登録を代行します」という提案も時々あります。Googleに自社サイトを認識してもらう作業は、Search Consoleを使って自分で無料でできます。有料の代行が必要な仕組みにはなっていません。この記事の下のリンクに、Search Consoleの基本をまとめた記事を置いています。
電話を切るまでの、実際の流れ
理屈が分かっても、電話口では言葉が出ないものです。この3つだけメモに書いて、電話機の横に貼っておくのがおすすめです。
- 「具体的にどんな作業をしていただけますか」
- 「効果は何の数字で、どのくらいの期間で確認できますか」
- 「契約期間と、途中でやめる場合の条件を教えてください」
そして最後に、この一文で締めます。
「ありがとうございます。社内で確認して、必要でしたらこちらからご連絡します。資料をメールでお送りいただけますか」
断ってもいませんし、話も進めていません。判断を自分の側の時間に戻しただけです。資料を送ってもらえば、社内で落ち着いて見られます。送られてこなければ、それも一つの答えです。
なお、「今日中にお返事いただければ特別価格で」と急がされたときは、その一言自体が、持ち帰る理由になります。本当に良い提案なら、来週でも良い提案のはずです。
明日やること
- 上の3つの質問を、付箋かメモに書いて電話機の横に貼る。これが今日いちばん手が早い一手です。
- 断りのメール定型文を1つ作って、下書きに保存しておく。「ご提案ありがとうございます。現在、外部への委託は予定しておりませんので、必要が生じた際にこちらからご連絡いたします」——これで十分です。毎回考えなくてよくなります。
- Search Consoleを開いて、自社サイトの検索での見え方を1画面だけ見ておく。「うちは検索で全然出ていませんよ」と言われたときに、自分の目で見た数字を持っていることが、いちばんの落ち着きになります。
全部やらなくて大丈夫です。1つ目の付箋だけでも、次にかかってきた電話はずいぶん楽になります。
チェックリスト
提案を受けたときに、上から順に見ていく用のリストです。
最低ライン(これだけは)
- その場で即答しなかった(資料をもらって持ち帰った)
- 具体的な作業内容を書面で説明してもらった
- 契約期間・自動更新・解約条件を確認した
余裕があれば(推奨)
- 「順位を保証」という表現が使われていないか確認した
- 「Google公認」が広告の話かSEOの話かを聞き返した
- 被リンクを購入・提供する施策が含まれていないか確認した
- 記事制作が含まれる場合、自社への取材・確認の工程があるか確認した
- 作った記事・ページの権利が自社に残るか確認した
- サイト・ドメイン・各種アカウントが自社の管理下に残るか確認した
- 効果を確認する数字と期間(何を、いつ見るか)を決めた
- 社内の決裁ルートと予算の出どころを先に確認した
- 断る場合の定型文を用意した
- 判断に迷う金額・期間なら、上長や法務にも見てもらった

営業の電話を切ったあと、「もっとうまく返せたはずだ」と思ってしまう日があります。でも、その場で正解を出せなかったことは、失敗ではありません。その場で決めなかったなら、それでもう対応としては十分です。
SEOの世界は、担当者一人が全部を把握できる範囲を、とっくに超えています。だから外の力を借りることもあるし、その中には本当に頼りになる会社もあります。大事なのは、借りるかどうかを、あなたと会社の側が選べる状態にしておくこと。今日メモした3つの質問は、そのための道具です。
次に電話が鳴っても、答えを持っている必要はありません。聞いて、書き留めて、持ち帰る。それだけで、あなたは会社のサイトをちゃんと守っています。
※本記事は2026年8月時点の一般的な実務情報であり、特定の事業者やサービスを指すものではありません。SEOの支援を適切に行っている会社も数多くあります。検索エンジンのガイドラインやスパムポリシーの内容、各社のプログラム名称は更新されることがあります。契約内容の最終的な判断は、Google検索セントラルなどの最新の公式情報をご確認のうえ、必要に応じて自社の法務担当や専門家にご相談ください。
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