
サイト内検索のキーワード分析|訪問者が探しているものを知る
サイトの右上に、小さな検索窓があります。制作会社に作ってもらったときから、なんとなく付いている、あの窓です。
正直なところ、「あれ、誰か使ってるのかな」と思っていませんか。私も長いこと、そう思っていました。
でも実は、あの窓に打ち込まれた言葉は、訪問者が「サイトの中を見て回っても見つけられなかったもの」の記録です。問い合わせフォームには書いてくれない。アンケートにも答えてくれない。でも検索窓には、そのまま打ち込んでくれている。こんなに正直な声は、なかなかありません。
しかも、読み解くのに特別なツールはいりません。GA4がすでに入っていれば、たいていの場合、もう記録は取れています。取り出して眺めるだけです。
結論:やることは3つだけです。
①見る:GA4の拡張計測機能で「サイト内検索」がONか確かめ、探索レポートで検索された言葉を並べる。
②分ける:出てきた言葉を「ページはあるのに届いていない」「まだページが無い」「呼び名が違う」の3つの山に分ける。
③直す:山のいちばん上の1語だけ、明日ひとつ手を入れる。
全部で15分ほどです。分析というより、机の引き出しを開けてみる、くらいの気持ちで大丈夫です。
何が起きているのか
サイト内検索は、訪問者がナビゲーションをあきらめた瞬間に使われます。
トップページを見て、メニューを見て、それらしいところをクリックして、それでも見つからない。そこでようやく、検索窓に手が伸びる。つまり検索された言葉は、ほとんどが「あなたのサイトの導線が届かなかったところ」なんです。
ここは責める話ではありません。サイトの構成は、社内の組織図や商品カタログの順番に沿って作られることが多く、それ自体はごく自然なことです。ただ、外から来た人はその事情を知りません。社内で「ソリューション」と呼んでいるものを、お客さんは「修理」と打つ。そのズレが、検索窓にたまっていきます。
Search Consoleの検索キーワードとは別物です
ここは混同しやすいので、先に整理しておきます。
| 誰が、どこで検索したか | 分かること | |
|---|---|---|
| Search Console の検索クエリ | Googleなどの検索結果画面で | 来る前に何と検索したか(集客の入口) |
| サイト内検索 のキーワード | あなたのサイトの検索窓で | 来たあとに何を探したか(サイトの中の迷子) |
どちらも大事ですが、直す場所が違います。Search Consoleは「どうやって来てもらうか」、サイト内検索は「来た人をどう案内するか」の話です。Search ConsoleのほうはSearch Consoleの検索クエリの見方で整理しています。
GA4は「拡張計測機能」で自動的に拾っています
GA4には拡張計測機能という仕組みがあります(=タグを追加しなくても、よくある操作をGA4側が自動で記録してくれる機能のこと)。スクロールやファイルのダウンロードなどと並んで、サイト内検索もこの中に入っています。
仕組みはシンプルで、URLに付く検索用のパラメータを見て判定しています。たとえばWordPressのサイトで「見積もり」と検索すると、URLは https://example.co.jp/?s=見積もり のようになります。この s= の部分をGA4が拾って、view_search_results というイベントとして記録してくれる、というわけです。
初期状態で見てくれるパラメータは q s search query keyword の5つ。WordPressの s は最初から入っているので、WordPressサイトなら、設定を触っていなくてもすでに溜まっていることが多いです。
手順を小さく分ける

1. 見る:設定を確かめて、検索された言葉を並べる(10分)
まず、スイッチがONかを確認します。
GA4の画面左下の管理 →「データの収集と修正」のデータストリーム → 自社サイトのウェブストリームをクリック →拡張計測機能の歯車マークを開きます。並んでいる項目の中に「サイト内検索」があるので、ここがONになっているか見てください。
OFFだったら、ONにします。ただし記録は遡りません。今日ONにしたら、明日から溜まりはじめます。がっかりするかもしれませんが、1週間後にまた見にくれば大丈夫です。
自社サイトの検索URLが ?s= や ?q= ではない場合(?keyword_search= のような独自のパラメータや、そもそもURLに何も付かない場合)は、この歯車の中でパラメータを追加指定できます。実際に自分のサイトで一度検索してみて、アドレスバーに出てくるURLの ? より後ろの文字を見るのが早いです。
次に、言葉を並べます。
標準の「レポート」には、検索された回数は出ますが、何と検索されたかまでは出てきません。語を見たいときは探索を使います。
- 左メニューの探索 →「空白」または「自由形式」を選ぶ
- ディメンション(分類の軸)に「検索キーワード」を追加する
- 指標(数える対象)に「イベント数」を追加する
- 行に「検索キーワード」、値に「イベント数」を置く
- 期間を過去3か月くらいに広げる
「検索キーワード」が候補に出てこないときは、カスタムディメンションに search_term を登録すると出るようになります(管理 → カスタム定義 → カスタムディメンションを作成 → イベントパラメータに search_term を指定)。ただしこちらも登録した日以降のデータだけが対象です。
探索の画面そのものに慣れていない方は、GA4の探索レポートの作り方を先に開いておくと迷いにくいです。
期間は思いきって長く取ってください。 サイト内検索は、月に10件あれば多いほうという会社もめずらしくありません。1週間で見ると「データがない」と思ってしまいますが、3か月〜半年に広げると、ちゃんと傾向が見えてきます。件数が少ないこと自体は、悪いことではありません。
先に、自社の検索を除いておきます。 自分や同僚が動作確認で打った言葉が混ざると、数字が読めなくなります。まだならGA4で社内アクセスを除外する設定を先に済ませておくと、この先ずっと数字がきれいです。
2. 分ける:3つの山に仕分ける(3分)
並んだ言葉を、上から順に3つの山に分けます。エクセルでもメモ帳でも構いません。多い順に上から20語くらいで十分です。
山①:ページはあるのに、届いていない
「会社概要」「アクセス」「料金」など、すでにサイトにあるページが検索されている。これがいちばん多いはずです。ページが無いのではなく、見つけてもらえていない状態です。
山②:まだページが無い
「導入事例」「保証期間」「対応エリア」など、サイトに情報が載っていないもの。ここは、作れば効く場所がそのまま書いてある宝の山です。
山③:呼び名が違う
社内では「メンテナンスサービス」、検索窓では「修理」。カタログの旧品番、以前のブランド名、略称。同じものを、違う言葉で呼ばれているパターンです。
分けるときに、その語で実際に自分のサイトを検索してみるのを1回だけやってください。結果がゼロ件で返ってきた語には、印をつけます。ゼロ件で返ってきた語は、訪問者がその場で帰ってしまった可能性が高い場所です。優先順位はここが最初になります。
検索窓に電話番号やメールアドレスらしきものが打ち込まれていることがあります(フォームと勘違いされたケースです)。それらは記録に転記せず、その場で見なかったことにしてください。 アクセス解析に個人を特定できる情報を持ち込まない、というのは各サービスの利用条件でも定められている考え方です。同時に、「フォームだと思われた」という事実自体は、検索窓の位置を見直すヒントにもなります。
3. 直す:明日ひとつだけ手を入れる(5分)
一度に全部やろうとすると、たいてい手が止まります。山のいちばん上の1語だけ選んで、次のうちどれかを1つやります。
| 山 | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| ①届いていない | グローバルメニューかトップページに、その語で1本リンクを足す | 5分 |
| ①届いていない | 関連しそうなページの本文に、その語を入れた内部リンクを1本足す | 5分 |
| ②ページが無い | FAQページに、Q&Aを1行だけ足す | 10分 |
| ②ページが無い | 情報が多ければ、ネタとして企画メモに書き留めておく | 3分 |
| ③呼び名が違う | 該当ページの本文に、訪問者が使う語を1回書き足す | 5分 |
山③の「呼び名が違う」への対処は、少しコツがあります。社内の正式名称を変える必要はありません。ページの中に、訪問者側の言葉も一緒に書いておけばいいんです。
メンテナンスサービス(修理・点検)
このように、正式名称のうしろに括弧で添えるだけ。これで、サイト内検索でも、Google検索でも、その語で引っかかるようになります。
新しくページを作るほどではないけれど、答えは用意しておきたい——そんな語がいくつも出てきたら、まとめてFAQページを作るのがいちばん効率的です。メニューの名前そのものを見直したくなったら、サイトのカテゴリ構造の設計もあわせてどうぞ。
検索窓が無い・数字がほとんど無いときは
「うちのサイト、そもそも検索窓が無いんですが」——それはそれで、まったく問題ありません。
ページ数が30ページ以下くらいなら、検索窓より、メニューをきちんと整えるほうが効きます。検索窓は、ページ数が増えて、メニューだけでは案内しきれなくなったときの補助輪です。無いこと自体は不足ではありません。
検索窓が無い、あるいはあっても件数がほとんど無い場合、代わりに見られるものがあります。
- 問い合わせフォームに書かれた質問文。これは、検索窓よりさらに正直な「見つからなかったもの」の記録です。過去3か月分を読み返すだけで、驚くほど傾向が出ます。
- 電話で毎回聞かれること。営業や受付の方に「よく聞かれることって何ですか」と3分聞くだけで、山②がまるごと手に入ります。
- Search Consoleの検索クエリ。表示回数はあるのにクリックが少ない語は、「探されているのに、うまく応えられていない」語です。
どれも管理画面の外にありますが、サイト内検索のキーワード分析と目的はまったく同じです。訪問者が探しているものを知る、それだけです。
今日のチェックリスト
- GA4の拡張計測機能で「サイト内検索」がONになっている
- 自社サイトの検索URLのパラメータ(
?s=など)を実際に検索して確かめた - 社内からのアクセスを除外する設定を済ませてある
- 探索で「検索キーワード」を並べ、期間を3か月以上に広げて見た
- 上位20語をコピーして、手元のメモに貼った
- 3つの山(届いていない/ページが無い/呼び名が違う)に分けた
- 気になる語で、実際に自社サイトを検索してみた(ゼロ件の語に印をつけた)
- 個人情報らしき語は記録に残さず処理した
- いちばん上の1語について、明日やることを1つ決めた
- 次に見る日を、カレンダーに入れた(3か月後で十分です)
全部にチェックが入らなくても大丈夫です。いちばん上の1行、「サイト内検索がONになっている」だけでも、今日の価値は十分あります。今日ONにすれば、3か月後のあなたが読むものが用意されます。
締めに
サイト内検索のキーワードは、地味なデータです。PVのように社内で共有される数字でもないし、月次報告で誰かに褒められる数字でもありません。
でも、私はこのデータがけっこう好きです。というのも、ここに並ぶ言葉は、顔の見えない訪問者が、その日その時間に、本当に困っていたことだからです。「保証期間」と打った人は、たぶん買う直前で迷っていた。「修理」と打った人は、たぶん壊れて困っていた。数字ではなく、人の用事がそのまま残っている。
そして、その用事に応えるのは、たいてい5分の作業です。リンクを1本足す。括弧で言い換えを添える。FAQに1行書く。誰にも気づかれない小さな作業ですが、次に同じ言葉で探しにきた人は、ちゃんとたどり着けます。
あなたが今日、その5分を使ったことは、誰にも報告されないかもしれません。でも確実に、明日どこかの誰かが、探しものを見つけて帰っていきます。
まずは検索窓のスイッチを確かめるところから。それだけで、今日はもう十分です。

※本記事は一般的な実務の考え方をまとめたものです。GA4の画面構成・メニュー名称・拡張計測機能の仕様は更新されることがあります。実際の設定は、Googleアナリティクスヘルプなどの最新の公式情報をご確認ください。
よければ、こちらも
- GA4の探索レポートの作り方|見たい数字を自分で組み立てる基本
- Search Consoleで検索クエリを深掘り|どんな言葉で来ているか
- GA4で人気ページを調べる方法|よく見られているページの見つけ方
- FAQページの作り方|「よくある質問」で問い合わせと検索に応える
- 内部リンクを見直して、サイト内の回遊を増やす考え方
- サイトのカテゴリ設計を整える|「探しやすい」を作る分け方の基本
「うちの場合はどこから見ればいいんだろう」と迷ったら、お問い合わせからいつでも声をかけてくださいね。一緒に整理していきましょう。